これは歯の表面や歯肉(特に歯肉溝)にのり状につくもので、その中に生きている細菌とその排泄物とのかたまりで食べかすとは違います。食べかすは強いうがいでとれますが、この歯垢はどんな強いうがいでもびくともせず、べっとりとくっついています。
試しにこの歯垢を爪でこすって採って、顕微鏡でみてみると1mgの中に2億個の生きた微生物がうようよと生息しているのがみられます。
人間が糖分を取り入れると歯の表面に付着し、それに口腔内の細菌が漂着して歯垢を形成するのです。それが清掃されないでいると、微生物の温床となり加速度的に増殖していきます。 こうしてできるものが、歯垢−プラークです。
これらの歯垢の中の細菌やその産生する乳酸や毒素、酵素などによって、 歯にはむし歯が、歯肉には炎症が引き起こされて歯と歯肉、さらに歯を支えている骨が崩壊されて行くのです。

歯垢は、24時間で作られます。
そして、それが歯肉溝に付着したままになっていると、細菌が増えていき1週間で歯肉に炎症を起こします。
歯磨きをしているとき、出血するのはこの歯垢によって起こされる炎症があるからです。出血を恐れて歯垢のついている歯の付け根部分や歯肉溝に歯ブラシを当てないと、炎症はさらに進みます。出血するところはやわらかい毛の歯ブラシを使い、正しいブラッシング法で良くみがくと、歯垢を完全に除去すると5日間ぐらいで炎症は治まり、出血も止まります。
人間の口の中は動物の口の中より汚れている
人間の口の中を考える前に動物について見てみましょう。
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<ウマの歯> 典型的な草食型。大きな前歯でひきちぎり、がっちりした奥歯ですりつぶす。犬歯(キバ)はごく小さく、メスでは上が欠けることもある。 |
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<シロクマの歯> キバの奥に、大きな大臼歯が上2本、下3本。これで魚などを噛み砕く。その前に小臼歯が上下とも3本で、普通のクマより各1本少ない、とがった前歯がキバの間に上下とも6本並ぶ。 |
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<カニクイザルの歯> 歯も歯並びも人間に良く似ている。犬歯(キバ)の発達をはじめ、歯1つずつが人間より、少し野性的という感じだ。オヤシラズもがっちりはえている。 |
写真:朝日新聞<歯無しにならない話>より
硬い木の皮や、木の実、繊維の多い木の葉、草の根などを食べる野生の動物には、むし歯や歯周病はほとんどみられません。これに対し、やわらかいペットフードや甘いものを食べる家庭で飼われている愛玩動物や動物園の動物の口の中は比較的若い動物でも口の中はむし歯や歯周病でガタガタです。人間においても未開の地の原住民は素晴らしい健康的な口腔状態ですが、文明の進んだ地域の人々の口の中は現代の食生活によってむし歯や歯周病そして歯並びの悪い人など、歯の健康の崩壊が進んだ人が多いのです。
細菌学的にみても、口腔清浄状態が悪く、食生活もよくない現代人の口の中は、牛や豚などをはじめどんな動物よりも汚れています。そして、その汚れ(歯垢-プラーク)によって歯は失われていくのです。
これから考えてみても文明社会の食生活が歯にとってどんなに悪いということがおわかりだと思います。そこで、正しい歯の清掃がとても重要になってくるのです。
自然なものを自然な状態で食べることができれば、歯ブラシ以上に硬い繊維が口の中をこすり、歯ぐきを鍛え、それが一番歯にはよいのですが・・・人間は火を使い野菜や肉、魚、穀類など食べやすくするためにやわらかくしたり、味付けすることにより食べ物がねっとりと口の中の細菌にく
っつきやすくなったのです。バイ菌の巣ができ、歯垢(バイ菌とその排泄物)が発生し、歯ぐきの骨をおかしだし、すでにエジプトのミイラがすでにこの病気で歯をとかされています。
さらに、今日ではインスタント食品や甘いもの、柔らかいものなどが多くなってきている食文化の中で、すべての食物を自然な状態のまま食べるのは不可能です。そして生活習慣として、子供から大人まで勉強や仕事のため、夜中に起きている人が増えてきています。夜中に起きている事により、寝る前にものを食べる回数が増え、歯磨きをせずに寝てしまう。そして朝も食事をとらないまま出掛け、夕方におやつを食べる・・・と規則正しいバランスの取れた食事もできず、歯磨きをするタイミングもくるってしまい、ますます口の中の汚れはひどくなります。
このような生活の中、消化器の一部である歯を健康に保つためには、規則正しいバランスのよい食事をとり、食後の正しい歯磨きをすることが非常に大切なことになってきます。むし歯や歯垢(プラーク)の原因のもとである甘いもの(糖分)や柔らかいものを食べても、食べ方や食後の正しい歯磨きで、歯垢の付着を防ぐことはできます。
また、硬いものをたべることにより歯や歯ぐき、あごの骨を強化し、口の中、消化器、全身をきたえることにもつながります。
歯の健康は、身体の健康です。
身体全体の退化が、知能ならびに生活全般の行動にかかわるものであるといわれています。したがって、歯やあご、歯並びなどに対する予防は、身体の退化そのものの防止・予防であるのです。



